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財産管理等の任意契約書・任意後見契約書

将来、寝たきりや、判断能力が低下してしまったときに、財産管理や医療関係の手続きを誰に任せるのか、今のうちに決めておく方法を紹介します。

財産管理等の委任契約書、任意後見契約書の公正証書作成サポート

サービスの概要

財産管理等の委任契約書、任意後見契約書公正証書の作成をサポート致します。
ヒアリングシートにてお客様の要望をお聞きします。必要な添付書類の作成や、面倒な公証人との事前打ち合わせを当事務所にて行います。
作成当日は、 私が公証役場に同行し財産管理等の委任契約書、任意後見契約書の公正証書を作成致します。

料金

報酬10,500円

その他に、公証人への手数料等の諸費用が、財産管理等の委任契約書につき11,000円、任意後見契約書につき約17,000円程度かかります。

手続きの流れ

  1. お申し込み
    メール、FAX、電話にてお申し込み下さい。
  2. ヒアリングシート記入
    財産管理等の委任契約書、任意後見契約書についての要望をヒアリングします。
    メールやFAXでの対応も可能です。
  3. 公証人との打ち合わせ
    財産管理等の委任契約書、任意後見契約書の内容について、当事務所にて公証人と事前に打ち合わせいたします。
  4. 作成当日
    当事務所事務員と公証役場に同行して頂き、尊厳死宣言書公正証書を作成致します。
    なお、公証役場へ行くことが困難な方は、自宅へ公証人を招くこともできます。ご相談下さい。

2つの契約を同時に結ぶのが理想的

両方用意しておけば、どんな場面にも対応できる

任意後見契約書は、財産管理等の委任契約書と同時に作るのが理想的です。そうすれば、判断能力に問題がないうちは委任契約書で対応できるし、その後で判断能力に問題が出てきたときは、速やかに任意後見契約に移行できるからです。
もし、どちらか一つだけだと、本人を十分保護できない可能性があります。

  • 財産管理等の委任契約しか結んでいない場合
    将来、本人の判断能力が低下すると、法廷後見を利用することになりますが、手続きに数ヶ月から半年程度かかるので、その間本人を十分保護することが出来ません
  • 任意後見契約した結んでいない場合
    本人の判断能力が低下してから任意後見契約をスタートさせるまで、手続きのために数ヶ月のブランクが空くので、その間本人の財産管理や療養看護が十分に図れない可能性があります。

この2つの契約を事前に結んでおくことで、委任契約から任意後見契約へスムーズに移行でき、本人の保護を十分図ることが出来るのです。

「移行型」の契約書を作る

このように、任意後見契約と財産管理等の委任契約を一緒に結ぶ方法を「移行型」といいます。公正証書を作成するときは、2つの契約書を1つの書類にまとめる形になります。
なお、この場合は将来、任意後見契約の効力が発生した時点で、委任契約は効力を失います。

委任契約及び任意後見契約公正証書(移行型)サンプル(出所:日本公証人連合会)

本公証人は、

委任者○○○○(以下

「甲」

という。

)及び受任者○○○○(以下

「乙」

の嘱託により、次の法律行為に関する陳述の趣旨を録取してこの証書を作成する。

第1 委任契約

第1条(契約の趣旨)

甲は、乙に対し、平成○○年○月○日、甲の生活、療養看護及び財産の管理に関する事

務(以下「委任事務」という。)を委任し、乙はこれを受任する。

第2条(任意後見契約との関係)

1 前条の委任契約(以下「本委任契約」という。)締結後、甲が精神上の障害により事理を

弁識する能力が不十分な状況になり、乙が第2の任意後見契約による後見事務を行うことを

相当と認めたときは、乙は、家庭裁判所に対し、任意後見監督人の選任の請求をする。

2 本委任契約は、第2の任意後見契約につき任意後見監督人が選任され、同契約が効力を

生じた時に終了する。

第3条(委任事務の範囲)

甲は、乙に対し、「別紙代理権目録(委任契約)」記載の委任事務(以下「本件委任事務」

という。)を委任し、その事務処理のための代理権を付与する。

第4条(証書等の引渡し等)

1 甲は、乙に対し、本件委任事務処理のために必要と認める範囲で、適宜の時期に、次の

証書等及びこれらに準ずるものを引き渡す。

①登記済権利証、②実印・銀行印、③印鑑登録カード・住民基本台帳カード、④預貯金通

帳、⑤各種キャッシュカード、⑥有価証券・その預り証、⑦年金関係書類、⑧土地・建物

賃貸借契約書等の重要な契約書類

2 乙は、前項の証書等の引渡しを受けたときは、甲に対し、預り証を交付してこれを保管

し、右証書等を本件委任事務処理のために使用することができる。

第5条(費用の負担)

乙が本件委任事務を処理するために必要な費用は、甲の負担とし、乙は、その管理する

甲の財産からこれを支出することができる。

第6条(報酬)

〔報酬額の定めがある場合〕

甲は、乙に対し、本件委任事務処理に対する報酬として毎月末日限り金○○円を支払う

ものとし、乙は、その管理する甲の財産からその支払を受けることができる。

〔無報酬の場合〕

乙の本件委任事務処理は、無報酬とする。

第7条(報告>

1 乙は、甲に対し、○か月ごとに、本件委任事務処理の状況につき報告書を提出して報告

する。

甲は、乙に対し、いつでも、本件委任事務処理状況につき報告を求めることができる。

第8条(契約の変更)

本委任契約に定める代理権の範囲を変更する契約は、公正証書によってするものとする。

第9条(契約の解除)

甲及び乙は、いつでも本委任契約を解除することができる。ただし、解除は公証人の認

証を受けた書面によってしなければならない。

第10条(契約の終了)

本委任契約は、第2条第2項に定める場合のほか、次の場合に終了する。

(1)甲又は乙が死亡し又は破産手続開始決定を受けたとき

(2)乙が後見開始の審判を受けたとき

第2 任意後見契約

第1条(契約の趣旨)

甲は乙に対し、平成○○年○月○日、任意後見契約に関する法律に基づき、精神上の障

害により事理を弁識する能力が不十分な状況における甲の生活、療養看護及び財産の管理

に関する事務(以下「後見事務Jという。)を委任し、乙はこれを受任する。

第2条(契約の発効)

1 前条の任意後見契約(以下「本任意後見契約」という。)は、任意後見監督人が選任され

た時からその効力を生ずる。

2 本任意後見契約締結後、甲が精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況に

なり、乙が本任意後見契約による後見事務を行うことを相当と認めたときは、乙は、家庭

裁判所に対し任意後見監督人の選任の請求をする。

3 本任意後見契約の効力発生後における甲と乙との間の法律関係については、任意後見契

約に関する法律及び本契約に定めるもののほか、民法の規定に従う。

第3条(後見事務の範囲)

甲は、乙に対し、別紙「代理権目録(任意後見契約)」記載の後見事務(以下「本件後見事

務」という。)を委任し、その事務処理のための代理権を付与する。

第4条(身上配慮の責務)

乙は、本件後見事務を処理するに当たっては、甲の意思を尊重し、かつ、甲の身上に配

慮するものとし、その事務処理のため、適宜甲と面接し、ヘルパーその他日常生活緩助者

から甲の生活状況につき報告を求め、主治医その他医療関係者から甲の心身の状態につき

説明を受けることなどにより、甲の生活状況及び健康状態の把握に努めるものとする。

第5条(証書等の保管等)

1 乙は、甲から本件後見事務処理のために必要な次の証書等及びこれらに準ずるものの引

渡しを受けたときは、甲に対し、その明細及び保管方法を記載した預り証を交付する。

①登記済権利証、②実印・銀行印、③印鑑登録カード・住民基本台帳カード、④預貯金通

帳、⑤各種キャッシュカード、⑥有価証券・その預り証、⑦年金関係書類、③土地・建物

賃貸借契約書等の重要な契約書類

2 乙は、本任意後見契約の効力発生後甲以外の者が前項記載の証書等を占有所持している

ときは、

その者からこれらの証書等の引渡しを受けて、

自らこれを保管することができる。

3 乙は、本件後見事務を処理するために必要な範囲で前記の証書等を使用するほか、甲宛

の郵便物その他の通信を受領し、本件後見事務に関連すると思われるものを開封すること

ができる。

第6条(費用の負担)

乙が本件後見事務を処理するために必要な費用は、甲の負担とし、乙は、その管理する

甲の財産からこれを支出することができる。

第7条(報酬)

〔報酬額の定めがある場合〕

1 甲は、本任意後見契約の効力発生後、乙に対し、本件後見事務処理に対する報酬として

毎月末日限り金○○円を支払うものとし、乙は、その管理する甲の財産からその支払を受

けることができる。

2 前項の報酬額が次の事由により不相当となった場合には、甲及び乙は、任意後見監督人

と協議のうえ、これを変更することができる。

(1)甲の生活状況又は健康状態の変化

(2)経済情勢の変動

(3)その他現行報酬額を不相当とする特段の事情の発生

3 前項の場合において、

甲がその意思を表示することができない状況にあるときは、

任意後見監督人の書面による同意を得てこれを変更することができる。

4 第2項の変更契約は、公正証書によってしなければならない。

5 後見事務処理が、不動産の売却処分、訴訟行為、その他通常の財産管理事務の範囲を超

えた場合には、甲は乙に対し毎月の報酬とは別に報酬を支払う。この場合の報酬額は、甲

と乙が任意後見監督人と協議の上これを定める。甲がその意思を表示することができない

ときは、乙は任意後見監督人の書面による同意を得てこれを決定する。

〔無報酬の場合〕

1 乙の本件後見事務処理は、無報酬とする。

2 本件後見事務処理を無報酬とすることが、次の事由により不相当となったときは、甲及

び乙は、任意後見監督人と協議のうえ、報酬を定めることができる。

(1)甲の生活状況又は健康状態の変化

(2)経済情勢の変動

(3)その他本件後見事務処理を無報酬とすることを不相当とする特段の事情の発生

(報酬額の定めのある場合の3項に同じ)

(報酬額の定めのある場合の4項に同じ)

第8条(報告)

1 乙は、任意後見監督人に対し、3か月ごとに、本件後見事務に関する次の事項について

書面で報告する。

(1)乙の管理する甲の財産の管理状況

(2)甲を代理して取得した財産の内容、取得の時期・理由・相手方及び甲を代理して処分

した財産の内容、処分の時期・理由・相手方

(3)甲を代理して受領した金銭及び支払った金銭の状況

(4)甲の身上監護につき行った措置

(5)費用の支出及び支出した時期・理由・相手方

(6)報酬の定めがある場合の報酬の収受

2 乙は、任意後見監督入の請求があるときは、いつでも速やかにその求められた事項につ

き報告する。

第9条(契約の解除)

1 甲又は乙は、任意後見監督人が選任されるまでの間は、いつでも公証入の認証を受けた

書面によって、本契約を解除することができる。

2 甲又は乙は、任意後見監督人が選任された後は、正当な事由がある場合に限り、家庭裁

判所の許可を得て、本契約を解除することができる。

第10条(契約の終了)

1 本任意後見契約は、次の場合に終了する。

(1)甲又は乙が死亡又は破産手続開始決定を受けたとき

(2)乙が後見開始の審判を受けたとき

(3)乙が任意後見人を解任されたとき

(4)甲が任意後見監督人選任後に法定後見(後見・保佐・補助)開始の審判を受けたとき

(5)本任意後見契約が解除されたとき

2 任意後見監督人が選任された後に前項各号の事由が生じた場合、甲又は乙は、速やかに

その旨を任意後見監督人に通知するものとする。

3 任意後見監督人が選任された後に第1項各号の亭由が生じた場合、甲又は乙は、速やか

に任意後見契約の終了の登記を申請しなければならない。

代理権目録(委任契約)サンプル

1 甲の有する一切の財産の管理、保存

2 下記金融機関、郵便局とのすぺての取引

(1)○○銀行○○支店

(2)○○信用金庫○○支店

(3)○○郵便局

(4)甲が取引をするその他の金融機関

3 家賃、地代、年金その他の社会保険給付等定期的な収入の受領、家賃・地代、公共料金

等定期的な支出を要する費用の支払並びにこれらに関する諸手続等一切の事項

4 生活に必要な送金及び物品の購入等に関する一切の事項

5 保険契約の締結、変更、解除、保険料の支払、保険金の受領等保険契約に関する一切の

事項

6 登記の申請、供託の申請、住民票、戸籍謄抄本、登記事項証明書

7 医療契約、入院契約、介護契約、施設入所契約その他の福祉サービス利用契約等、甲の

身上監護に関する一切の契約の締結、変更、解除、費用の支払等一切の事項

8 要介護認定の申請及び認定に対する承認又は異議申立てに関する一切の事項

代理権目録(任意後見契約)サンプル

1 不動産、動産等すべての財産の保存、管理及び処分に関する事項

2 金融機関、郵便局、証券会社及び保険会社とのすべての取引に関する事項

3 甲の生活費の送金及び生活に必要な財産の取得、物品の購入その他の日常生活関連取引

並びに定期的な収入の受領及び費用の支払に関する事項

4 医療契約、入院契約、介護契約その他の福祉サービス利用契約、福祉関係施設入退所契

約に関する事項

5 要介護認定の申請及び認定に関する承認又は異議申立てに関する事項

6 訴訟行為(民事訴訟法第55条第2項の特別授権事項を含む。)に関する事項

7 以上の各事項に関連する一切の事項

代理権目録(任意後見契約)サンプルⅡ

1 不動産、動産等すべての財産の保存、管理及び処分に関する事項

2 金融機関、郵便局、証券会社とのすべての取引に関する事項

3 保険契約(類似の共済契約等を含む)に関する事項

4 定期的な収入の受領、定期的な支出を要する費用の支払に関する事項

5 生活費の送金、生活に必要な財産の取得に関する事項及び物品の購入その他の日常関連

取引(契約の変更、解除を含む〉に関する事項、

6 医療契約、入院契約、介護契約その他の福祉サービス利用契約、福祉関係施設入退所契

約に関する事項

7 要介護認定の申請及び認定に関する承認又は異議申立て並びに福祉関係の措置(施設入

所措置を含む)の申請及び決定に対する異議申立てに関する事項

8 シルバー資金融資制度、長期生活支援資金制度等の福祉関係融資制度の利用に関する事

9 登記済権利証、印鑑、印鑑登録カード、住民基本台帳カード、預貯金通帳、各種キャッ

シュカード、有価証券・その預り証、年金関係書類、土地・建物賃貸借契約書等の重要な

契約書類その他重要書類の保管及び各事項の事務処理に必要な範囲内の使用に関する事項

10 居住用不動産の購入、賃貸借契約並びに住居の新築・増改築に関する請負契約に関す

る事項

11 登記及び供託の申請、税務申告、各種証明書の請求に関する事項

12 遺産分割の協議、遺留分減殺請求、相続放棄、限定承認に関する事項

13 配偶者、子の法定後見開始の審判の申立てに関する事項

14 新たな任意後見契約の締結に関する事項

15 以上の各事項に関する行政機関への申請、行政不服申立て、紛争の処理(弁護士に対す

る民事訴訟法第55条第2項の特別授権事項の授権を含む訴訟行為の委任、公正証書の作成嘱

託を含む。)に関する事項

16 復代理人の選任、事務代行者の指定に関する事項

17 以上の各事項に関連する一切の事項

同意を要する特約目録サンプル

乙が以下の行為を行うには、個別に任意後見監督人の書面による同意を要する。

1 居住用不動産の購入及び処分

2 不動産その他重要な財産の処分

3 弁護士に対する民事訴訟法第55条第2項の特別授権事項の授権を含む訴訟行為の委任

4 復代理人の選任

任意後見契約をすれば、こんな場面で役に立ちます!

  1. 財産を守れる
  2. 治療費や介護費用を調達しやすい
  3. 現在の生活を維持できる
  4. 親族の相続が発生したときに対処できる
  5. 親族間のトラブルを防止できる
  6. 家族に介護問題に対処できる

財産を守れる

判断能力が低下して本人が財産管理が出来ないのにつけ込んで、誰かが勝手に預貯金を引き出したり、不動産を売却したりするようなことを防げます。
もし、誰かがそのようなことをした場合は、任意後見人が訴訟を起こすなどして財産を取り戻すことが出来ます。
また、任意後見人が預金通帳や実印など重要なものを管理することで、本人が浪費したり、悪徳商法などの被害にあわずにすみます。

治療費や介護費用を調達しやすい

入院や介護のためにまとまったお金が必要になったとき、任意後見人が不動産の売却や定期預金の解約などを行えるので、速やかな資金調達が可能です。
もし任意後見契約を結んでいない場合は、本人に代わって手続きの出来る人(法定後見人)を家庭裁判所で選んでもらう必要があります。しかし、通常、その手続きには数ヶ月から半年程度かかるので、その間本人が適切な治療や介護が受けられないおそれがあります。

現在の生活を維持できる

任意後見人が本人の財産や年金などを管理して生活費の支払いなども代行してくれるので、電気が止められたり税金の滞納で自宅を差し押さえられたりといった事態を避けられます。また、入院や介護に必要な費用の支払いが滞らず、本人は安心して治療や介護を受けられます。
任意後見人には、本人がきちんと治療を受けているかどうかなど、生活の状況に注意を払う義務もあるので、介護施設の待遇に問題があるような場合は、施設に問いただしたり、行政に不服申し立てをすることも出来ます。

親族の相続が発生したときに対処できる

親や子供、独身の兄弟などがなくなると、本人は殻らの財産を相続する権利が発生します。
しかし、本人は判断能力が低下しているので、遺産分割協議に参加で傷相続手続きが行えません。もし、故人が借金を抱えている場合、そのまま相続すると困ってしまいます。
このような場合に任意後見人がいれば、本人の代わりに遺産分割協議に参加したり、相続放棄や限定承認(相続財産の限度で借金を負担すること)出来るので安心です。

親族間のトラブルを防止できる

子供が親の面倒を一生懸命見ているつもりでも、周りからは子供が親の財産を好き勝手に使っているとか、まじめに面倒を見ていないなどとと誤解されることがあります。
しかし、任意後見契約を結んでいれば、子供が権限に基づいて財産を管理し、きちんと世話していることを証明しやすくなります。
財産管理等の委任契約と違って、第三者(任意後見監督人)が任意後見人が義務を果たしているかチェックするので、その分、信頼性が高いといえるでしょう。

家族の介護問題に対処できる

最近は、高齢者同士で介護をする「老老介護」が問題になっています。
認知賞の配偶者の世話を、もう一方の配偶者が行うという場合も良くあります。また、重度の知的障害を持つ子供を年老いた親が介護しているケースもあります。
このような場合に介護者自身がぼけてしまうと、介護を受けるほうも困るし、介護者自身もサポートしてくれる人がいなければ困った状況におかれます。
この場合はまず、本人(介護者)が元気なうちに信頼できる第三者と任意後見契約を結ぶことが考えられます。
将来、本人がぼけると家族の世話が出来なくなるので、そのときは家族に法定後見人をつける必要があります。そして、すでに判断能力が低下した本人に代わって、任意後見人が家族の法定後見人を選任するための手続きをすることになります。
なお、この場合は任意後見契約を結ぶほかに、本人が介護している家族に財産を相続させるように遺言したり、信託銀行を利用して本人の死後、家族が定期的に生活費を受け取れるような対策を立てたりすることも考えたほうが良いでしょう。

「任意後見人」は何をするのか?

「任意後見契約」を結ぶと、将来、実際に判断能力が低下したときに、あらかじめ頼んでおいた相手(任意後見人)が、さまざまな事務手続きを代行してくれます。
では、具体的に、任意後見人は本人に代わってどんなことを行えるのでしょうか。

財産管理の問題

基本的に、不動産や動産など財産にまつわることはすべて代理できると考えてよいでしょう。委任契約と異なり、財産の管理や保存だけでなく「処分」まで出来るというように、かなり広範な内容になっています。

療養看護

入院や主ずつのために必要な手続きや、介護サービスの申し込みなど、本人の心身を守るために必要な手続き全般を任意後見人が代理できます。
判断能力が低下すると、本人はどんな治療や介護が必要か判断できず、介護保険制度を利用するための手続きも出来ないため、任意後見人が本人にとって最適と思われる方法を選択して手続きすることになります。

任意後見人に依頼できないもの

任意後見人は、あくまでも本人が最適な治療や介護を受けるためのサポート体制を整えるだけで、介護そのものを行うわけではありません。実際に食事や排泄の解除をするのは契約を結んだヘルパーなどの第三者です。
また、任意後見人は、本人の病気の治療について、一般的な投薬、検査などの医療行為に対しては本人に代わって同意できますが、重大手術を行うかどうかに対する同意権はないとされています。
延命治療の指定についても同様です。

任意後見契約書のサンプル

委任者・被後見人(甲)
本  籍
住  所
氏  名
生年月日
受任者・後見人(乙)
住  所
氏  名
生年月日

第1条(契約の趣旨)
甲は乙に対し,平成18年 月 日,任意後見契約に関する法律に基づき,同法4条第1項所定の要件に該当する状況における甲の生活,療養看護及び財産の管理に関する事務(以下「後見事務」という。)を委任し,乙はこれを受任する。

第2条(契約の発効)
1 前項の契約(以下「本契約」という)は任意後見監督人が選任されたときからその効力を生ずる。
2 本契約締結後,甲が任意後見契約に関する法律第4条第1項所定の要件に該当する状況になり,乙が本契約による後見事務を行うことを相当と認めたときは,乙は家庭裁判所に対し任意後見監督人の選任を請求する。
3 本契約効力発生後における甲と乙との間の法律関係については,任意後見契約に関する法律及び本契約に定めるもののほか,民法の規定に従う。

第3条(委任事務の範囲)
甲は乙に対し,別紙「任意後見代理権目録」記載の後見事務(以下「本件後見事務」という。)を委任し,その事務のための代理権を付与する。

第4条(身上配慮の責務)
乙は,本件後見事務を処理するに当たっては,甲の意思を尊重し,かつ,甲の身上に配慮するものとし,その事務の処理のため,適宜甲と面接し,ヘルパーその他日常生活援助者から甲の生活状況につき報告を求め,主治医その他医療関係者から甲の心身の状態につき説明を受けることなどにより,甲の生活状況及び健康状態の把握に努めるものとする。

第5条(証書等の保管等)
1 乙は,甲から本件後見事務処理のために次の証書等の引渡しを受けたときは,甲に対し,その明細及び保管方法を記載した預り証を交付する。
登記済権利証,実印・銀行印,印鑑登録カード,預貯金通帳,年金関係書類,各種キャッシュカード,有価証券,建物賃貸借契約書等の重要な契約書類
2 乙は,本契約の効力発生後,甲以外の者が前項記載の証書等を所持しているときは,その者からこれらの証書等の引渡しを受けて,自らこれを保管することができる。

第6条(費用の負担)
乙が本件後見事務を処理するために必要な費用は甲の負担とし,乙はその管理する甲の財産からこれを支出することができる。

第7条(報酬)
1 甲は,本契約の効力発生後,乙に対し,本件後見事務処理に関する報酬として,毎月末日限り金 万円を支払うものとし,乙はその管理する甲の財産からその支出を受けることができる。
2 前項の報酬額が,次の事由により不相当となった場合には,甲及び乙は任意後見監督人と協議のうえこれを変更することができる。
ア 甲の生活状況又は健康状態の変化
イ 経済情勢の変動
ウ その他現行報酬額を不相当とする特段の事情の発生

第8条(報告)
1 乙は任意後見監督人に対し,3か月ごとに,本件後見事務に関する次の事項について書面で報告する。
ア 乙の管理する甲の財産の管理状況
イ 甲の身上監護につき行った措置
ウ 費用の支出及び使用状況
エ 報酬の収受
2 乙は任意後見監督人の請求があるときは,いつでも速やかにその求められた事項につき報告する。

第9条(契約の解除)
1 任意後見監督人が選任される前においては,甲または乙は,いつでも公証人の認証を受けた書面により,本契約を解除することができる。
2 任意後見監督人が選任された後においては,甲又は乙は,正当な事由がある場合に限り,家庭裁判所の許可を得て本契約を解除することができる。

第10条(契約の終了)
本契約は次の場合に終了する。
ア 甲又は乙が死亡し又は破産したとき
イ 乙が後見開始の審判を受けたとき
ウ 甲が後見開始,保佐開始又は補助開始の審判を受けたとき

代 理 権 目 録

1 不動産,動産等すべての財産の保存,管理,変更及び処分に関する事項
2 金融機関,証券会社とのすべての取引に関する事項
3 保険契約(類似の共済契約等を含む。)に関する事項
4 定期的な収入の受領,定期的な支出を要する費用の支払に関する事項
5 生活費の送金,生活に必要な財産の取得,物品の購入その他の日常生活関連取引に関する事項
6 医療契約,入院契約,介護契約その他の福祉サービス利用契約,福祉関係施設入所契約に関する事項
7 登記済権利証,印鑑,印鑑登録カード,各種カード,預貯金通帳,株券等有価証券,その預り証,重要な契約書類その他重要書類の保管及び各事項処理に必要な範囲内の使用に関する事項
8 登記及び供託の申請,税務申告,各種証明書の請求に関する事項
9 以上の各事項に関する行政機関等への申請,行政不服申立て,紛争の処理(弁護士に対する民訴法55条2項の特別授権事項の授権を含む訴訟行為の委任,公正証書の作成嘱託を含む。)に関する事項
10 復代理人の選任,事務代行者の指定に関する事項
11 以上の各事項に関連する一切の事項

財産管理等の委任契約書のサンプル

「財産管理等の委任契約書」サンプル

第1条(契約の趣旨)

甲は、乙に対し、平成○○年○月○日、甲の生活、療養看護及び財産の管理に関する事

務(以下「委任事務」という。)を委任し、乙はこれを受任する。

第2条(任意後見契約との関係)

1 前条の委任契約(以下「本委任契約」という。)締結後、甲が精神上の障害により事理を

弁識する能力が不十分な状況になり、乙が第2の任意後見契約による後見事務を行うことを

相当と認めたときは、乙は、家庭裁判所に対し、任意後見監督人の選任の請求をする。

2 本委任契約は、第2の任意後見契約につき任意後見監督人が選任され、同契約が効力を

生じた時に終了する。

第3条(委任事務の範囲)

甲は、乙に対し、「別紙代理権目録(委任契約)」記載の委任事務(以下「本件委任事務」

という。)を委任し、その事務処理のための代理権を付与する。

第4条(証書等の引渡し等)

1 甲は、乙に対し、本件委任事務処理のために必要と認める範囲で、適宜の時期に、次の

証書等及びこれらに準ずるものを引き渡す。

①登記済権利証、②実印・銀行印、③印鑑登録カード・住民基本台帳カード、④預貯金通

帳、⑤各種キャッシュカード、⑥有価証券・その預り証、⑦年金関係書類、⑧土地・建物

賃貸借契約書等の重要な契約書類

2 乙は、前項の証書等の引渡しを受けたときは、甲に対し、預り証を交付してこれを保管

し、右証書等を本件委任事務処理のために使用することができる。

第5条(費用の負担)

乙が本件委任事務を処理するために必要な費用は、甲の負担とし、乙は、その管理する

甲の財産からこれを支出することができる。

第6条(報酬)

〔報酬額の定めがある場合〕

甲は、乙に対し、本件委任事務処理に対する報酬として毎月末日限り金○○円を支払う

ものとし、乙は、その管理する甲の財産からその支払を受けることができる。

〔無報酬の場合〕

乙の本件委任事務処理は、無報酬とする。

第7条(報告>

1 乙は、甲に対し、○か月ごとに、本件委任事務処理の状況につき報告書を提出して報告

する。

2

甲は、乙に対し、いつでも、本件委任事務処理状況につき報告を求めることができる。

第8条(契約の変更)

本委任契約に定める代理権の範囲を変更する契約は、公正証書によってするものとする。

第9条(契約の解除)

甲及び乙は、いつでも本委任契約を解除することができる。ただし、解除は公証人の認

証を受けた書面によってしなければならない。

第10条(契約の終了)

本委任契約は、第2条第2項に定める場合のほか、次の場合に終了する。

(1)甲又は乙が死亡し又は破産手続開始決定を受けたとき

(2)乙が後見開始の審判を受けたとき

「成年後見制度」の種類

「法定後見」と「任意後見」の2種類がある

「成年後見制度」は、判断能力が不十分な人(主に認知賞の高齢者や統合失調症などの精神障害者)に保護所をつけることで、本人の権利を守り、快適に生活できるようにするための制度です。
成年後見制度には、「法定後見」と「任意後見」の2種類があります。

すでに判断能力が低下しているひとは「法定後見」

法定後見は、すでに本人の判断能力が衰えている場合に、家庭裁判所に本人を守る保護者を決めてもらうものです。本人の判断能力の程度によって「後見」「保佐」「補助」の3種類にわけられ、保護の内容もそれぞれ異なります。
たとえば、後見の場合は、本人に判断能力がないので、後見人がほぼすべての契約や手続きを代行することになりますが、補助の場合はそれほど判断能力が低下していないので、どんな手続きを代わりにして欲しいのか、本人が個別に決められるといった違いがあります。

判断能力が十分にある人は「任意後見」

任意後見制度は、まだ本人の判断能力に何の問題も生じていないうちに、将来判断能力が不十分になったときに備えて、自分の後見人になってもらう人と後見事務の内容を決めて契約を結んでおくというものです。
法定貢献だと、どんな人が自分の後見人になるのかわかりませんが、任意後見では事前に「自分で選べる」点が大きな違いです。

判断能力の低下(ボケ)に備える「任意後見契約書」とは?

任意後見契約書とは、判断能力が低下(ボケ)したときに、財産管理や医療関係の手続きを信頼できる第三者に任せるための書類です。

判断能力が低下した場合に予想されるトラブル

  • 財産の管理が出来なくなってお金を浪費したり、悪徳業者や親戚などに財産を騙し取られる
  • 介護施設の入居費用を作るために不動産を売却する必要がある場合でも、本人がぼけているとそのままでは売却の手続きが出来ず、費用を捻出できない
  • 親族の相続が発生したとき、本人が遺産分割協議に参加したり相続放棄したりすることが出来ない(最悪、借金を相続してしまうおそれがある)
  • 適切な介護を受けられない場合でも、本人はそれを判断して文句をいうことさえできず、そのままになってしまう。

判断能力が低下すると、さまざまな面で支障が生じる

「財産管理等の委任契約書」は、身体が不自由になったときの話だったのに対し、「任意後見契約書」は、頭の問題、すなわち判断能力が低下したときの話です。
この場合でも、日常的な契約や手続きができなくなり、生活に支障が生じるのは変わりません。ただ、違うのは、もっと事態が深刻だということです。
たとえば、手元にお金が必要になったとき、身体が不自由になっただけなら、代理人に頼んで銀行にいってもらえばすみます。しかし、いわゆるボケになってしまうと、本人は「お金が必要だから銀行にいかなければならない」という判断すら出来なくなります。
また、自分のおかれた状況を正確に判断できないため、病気になっても適切な治療を受けたり、ヘルパーを依頼したりといったことも出来ず、結果として症状が悪化するおそれがあります。

本人だけでなく周りも困る

判断能力が低下すると、浪費や悪徳商法に引っかかるなどして財産を失う可能性もあります。離れて暮らしている子供が、様子がおかしいことに気づいたときにはすでに手遅れという事態になりかねません。
また、本人がぼけているのをいいことに、親族が勝手に財産を使い込んだり、自宅を借金の抵当に入れてしまったりというような事態も考えられます。
このような状況は、もちろん本人にとって不本意に違いありませんが、同時に周りの人にとって、例えば子供の立場からしても、色々と厄介なことになります。
たとえば、親を介護施設に入所させるために親名義の不動産を売却しようとしたら、業者から「認知賞の人とは取引できない」と断られたり・銀行で定期預金を解約しようとしたら、本人の意思確認が出来ないので断られたという話は良くあります。このような場合は、本人に判断能力がないので、委任状をもらって手続きをすることが出来ません(もし、勝手に委任状を作ると、後で取引が無効になるなど問題になる可能性があります)。
このように、契約や取引の場面では本人の意思が重視されるので、本人が意思表示できなくなると想像以上に不便が生じます。
そこで、誰かが本人に代わってさまざまな意思決定をする必要があるわけですが、それをどのように決めるのかが問題です。
誰かが勝手に「私がやります」と手を上げても、法的な効力はありません。第三者に法的に有効な権限を与えるための方法、それが「成年後見制度」なのです。

契約書を作るタイミングは?

”財産管理等の委任契約書”は、いつ作成すべきなのでしょうか?

まず、”どうも最近足腰が弱ってきたり外出するのが億劫になってきたと自覚したら、そろそろ財産管理を誰かに頼むころあいかもしれません。特に、これから病気で入院するとか手術をする予定がある人は、その前に委任契約を済ませておくと安心です。

まだ、体はぴんぴんしていて、自分で何でも出来るという人でも、今のうちに契約書だけ作っておいて、将来からだの調子が悪くなったら契約をスタートさせるというように、文面で指定することも出来ます(その際は、当然受任者の了解を事前に得ることが必要です)。
いざ、必要に迫られて契約書を作ろうとしても、そのときの状態によってはそれが不可能なことも考えられるので、ある程度の年齢になったら準備しておくに越したことありません。

「財産管理等の委任契約」の内容は?

財産管理等の委任契約」の内容には、「財産管理」と「療養看護」の二つがあります。

財産の管理・保存ができる

「財産管理」とは簡単に言うと、「本人の財産を、本人の利益になるように最適な方法で管理すること」です。
預貯金や不動産などの財産を管理・保存するために必要なすべてのことについて、第三者に代理してもらうことが可能です。
たとえば、

  • 銀行からお金を引き出したり、振込みをする
  • 家賃や光熱費などの支払いをする
  • 賃貸しているアパートの家賃を受け取る
  • 生命保険の契約を結んだり、保険金を請求する

また、役所で戸籍謄本や住民票を取得したり、税金の申告なども代わりにやってもらえます。

介護・医療関係の手続きが出来る

もう一つの「医療看護」は、医療や介護など本人の心身を保護するために必要な事務処理全般を指します。

たとえば、

  • 病院や介護施設に入所するための手続き
  • 要介護認定の申請、介護サービスの契約や変更・解除、費用の支払い

など、さまざまな介護・医療関係の手続きが代理できます。

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